2019年12月01日

出っ歯、つまり上アゴの前歯がとびでている感じを治したいという患者さんは大勢おられます。

出っ歯の原因は、小さい時の指しゃぶりや舌癖(歯医者はぜつへきと呼んでいます、特に食べ物を嚥下する時に、正しい位置に舌が行かず、上顎の前歯を押したり、前歯の上下の歯の間に突っ込んだりすると出っ歯となります。下顎や下顎の前歯を押したりすると受け口つまり下顎前突となります。)

また、アデノイドが大きかったりすると出っ歯になったり、口をポカンと開ける癖があったら上顎の前歯を唇で(舌が歯の裏から押すチカラと唇が歯の表面を押すチカラのバランスがとれたところに前歯の位置が決定されます)押さえられなくなって出っ歯になったりします。

鼻呼吸ではなく、口呼吸も出っ歯になります。

勿論遺伝的な要素もあります。

以上のことが 、単独でおきたり多くはそれぞれが関係しあって複数の原因を持っています。

ということで、出っ歯を治すにはできる限りこれらの原因を取り除く事が必要です。

 

舌癖を治すのは、時間がかかります。

今まで、生まれてから身についた癖を、数回の治療や、数週間の治療で正しい状態に戻すことは不可能です。どんなに短くても数ヶ月はかかります。

(大人になってから舌癖を治すことは、不可能です。)

どんなに遅くても小学生の間に治す必要があります。

この舌癖を治すトレーニングを歯医者は、MFT(エムエフティー、筋機能訓練と呼んでいます)

小学生の間であれば、特別な矯正装置をつけずに、MFTだけで改善させることも可能です。

(日本においては、1980年代、1990年代の初め頃まで毎年アメリカの言語聴覚士が日本の歯医者にMFTを教えに来ていました。若い矯正歯科の歯医者の中には、この歴史を知らないかたもおられて、最近驚いた事がありました。)

大人になれば、MFTというのは、おこなっても改善しないので無意味となります。

しかし、大人の場合は、アデノイドが小児期と比べてちいさくなり、呼吸の仕方も安定して、口をポカンとしている人もすくなくなり、口呼吸傾向もある程度改善されます。

大人の出っ歯を治すには、矯正装置で出っ歯を引っ込める必要があります。

軽度であれば、前歯の傾き、つまり傾斜をかえて内側に傾斜させることで改善します。これで治る方は少数です。

歯科医院に来院して出っ歯を治す治療を希望される方のほとんどは、中程度以上の出っ歯の方です。

でた前歯だけを奥に入れるのは、3次元的に不可能です。なぜならば、前歯の後ろには奥歯があり、それにぶつかるからです。

つまり、スペースがなければ、前歯は奥には移動しないということになります。

そのスペースをあける方法は主に2通りです。(他の方法もいくつかありますが、少しのスペースしか確保できないので、実際にはよく使う方法ですが誤解を避けるためここでは省きます)

①奥歯の1本の歯を抜いてスペースをあける。(普通は、中間部位にある小臼歯を抜きます)

②歯を抜かずに奥歯を含めた全体の歯をおくに移動させる

以前はは①が主流でしたが、最近では、テクニック的な進歩、開発で②をおこうことも多くなっています。

この場合注意しなくてはいけなのは、奥歯の周りの歯槽骨に移動できるスペースがあるかどうかです。歯の根っこが歯槽骨からはみ出るというのは、現実ではあり得ません

ほとんどの場合はスペースがあるのですが、たまにこのスペースがない方がおられます。

これは、頭部エックス線規格写真(歯医者はセファロと呼んでいます)といわれるレントゲン写真をとらないとわかりません。

このセファロをとるレントゲンの機械は、普通の歯科医院では置いてありません。

矯正歯科治療を行なっている歯科医院でしかおいてありません。(高額なため、具体的には数百万円します)

(やまもと歯科医院では、開業以来、4代目のセファロのレントゲンとなっています。)

頭蓋骨と顎の骨の境界部分(歯医者用語では、翼口蓋窩’よくこうがいか’と読みます)、つまり翼口蓋窩の頭蓋骨側から上顎神経が出てくるところのあたりを基準として奥歯を奥に動かして歯槽骨内におさまるか、距離を測って、スペースがあるかどうか見極めます。

以上が、歯科医院における出っ歯の治しかたです。

以前とくらべれば現在はテクニック的な進歩で抜歯をせずに矯正歯科治療を行うことが多くなってきています。