歯学部で嚥下の研究が本格的に始めて30年近くたちます。
最近の歯学部では、摂食嚥下分野がかなりライトを浴びる分野となっています。(私が歯学部の学生だった頃は、学生に人気だったのは矯正歯科でしたが)
ただ、この摂食嚥下分野は、歯学部だけでは完結できない分野で、医学部と共同での研究、診療にあたるのが必要となります。
嚥下には舌の圧力が大切となります。舌圧の強さが嚥下ができるかに深く相関するからです。(この舌圧だけの問題ではないですが)
最近では、舌が口腔の天井である口蓋を押すチカラを計って舌圧を知る器械があります。多くの歯科医院にこの器械があります。やまもと歯科医院にも舌圧測定器があります。
この舌圧、先週のガッテンでダチョウ倶楽部の上島さんが驚異的な舌圧50キロパスカルを記録して驚きました。
この舌圧が20キロパスカル以下だと正常な嚥下はできなくなります。
20~25キロパスカルがボーダーラインとなります。
この舌圧を上げる方法がこのNHKのガッテンで紹介されていました。
それが、もも裏伸ばし です。どこかの大学の准教授で理学療法士の先生が開発した方法です。食事の直前に、腿裏をストレッチすることによって、骨盤を立って、それにより舌圧が高くなるというものです。
歯学部では、そして歯医者の間では、今まで行ってきたことは、座る姿勢が嚥下のチカラに大きく影響するので適切な高さの椅子にすわり、椅子には浅く座り(深く座る事を推奨している本もありますが、姿勢が悪くなり骨盤が立たない状態になります)足の裏は、膝より体幹側に置く事を言ってきました。
これよく考えると、行っている事は、もも裏伸ばしとほぼ同じじゃないかとうことです。
また、摂食嚥下の仕事をしている歯医者で矯正歯科も本格的に行っている歯医者は少数なので、多分まだ、どの歯医者も公式には言っていませんが、矯正歯科分野では、舌の位置が歯並びをきれいにして、よく噛めるようにするには重要ですが、その舌の位置を改善するためには、腸腰筋のストレッチというのがあります。
これもよく考えると、腸腰筋は腿の付け根からのびますのでこれも同じことを結局しているということになります。
多分、腸腰筋のストレッチにより、舌の位置が改善するのと同時に舌圧も改善するのではないかと思っています。
このブログでも過去に正常な嚥下には姿勢が大切だということをしばしば書きましたが、もも裏伸ばしも勧めていきたいと思います。
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