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歯を守る新常識!もしかしてあなたも?「歯の接触癖(TCH)」を知ろう

歯を守る新常識!もしかしてあなたも?「歯の接触癖(TCH)」を知ろう 私が歯科医師になった約40年前、60歳を過ぎるとほとんどの方が入れ歯、それも多くが総入れ歯でした。当時の歯科治療は、入れ歯の作製や調整が中心で、自分の歯がある患者さんの方が珍しいくらいでしたね。 しかし時代は変わり、今では「8020(ハチマルニイマル)運動」が浸透し、80歳で20本以上の歯を持つことが珍しくなくなりました。これは素晴らしいことですが、同時に新たな問題も浮上しています。 歯がすり減ってしみる、歯周病の悪化、顎関節症(がくかんせつしょう)など、昔はあまり見られなかった症状が増えてきたのです。歯磨きの習慣も根付き、口腔内の衛生状態は格段に良くなっているにもかかわらず、なぜこのような問題が起きるのでしょうか? 虫歯だけじゃない!「TCH(歯の接触癖)」って何? 患者さんの多くは「虫歯が一番の問題」だと考えていらっしゃいます。もちろん虫歯は大切な問題ですが、実は上記のような症状の影に潜んでいるのが「TCH(Tooth Contacting Habit:歯の接触癖)」です。 TCHとは、食事や会話の時以外、無意識のうちに上下の歯を接触させてしまう癖のこと。通常、リラックスしている時は上下の歯は2~3mmほど離れています。しかし、パソコン作業中やスマートフォンを見ている時、集中している時など、知らず知らずのうちに歯を接触させている方が非常に多いのです。 「え、歯が当たってても何が悪いの?」と思われるかもしれませんね。しかし、この無意識の接触が、歯や顎にじわじわと大きな負担をかけてしまうのです。 TCHが引き起こす様々なトラブル TCHは、次のような問題を引き起こす原因となります。 * 歯がすり減る・しみる(知覚過敏): 無意識の接触が長引くことで、エナメル質が削れ、象牙質が露出しやすくなります。 * 歯周病の悪化: 歯への過剰な力が歯周組織に負担をかけ、炎症を悪化させる可能性があります。 * 顎関節症: 顎の関節や周囲の筋肉に負担がかかり、口を開けるときに音がしたり、痛みが出たりします。 * 肩こりや頭痛: 顎周りの筋肉の緊張が、首や肩の筋肉にも影響を及ぼすことがあります。 * 被せ物や詰め物が取れる・割れる: 歯に無理な力がかかることで、治療した部分が破損しやすくなります。 歯科医師は、これらの症状を診察する際に、TCHが根本原因ではないかと考えています。虫歯を治しても、TCHがある限り、また別の歯が削れたり、歯周病が悪化したりする可能性があるからです。私たちは、根本的な原因であるTCHを解決することで、長期的に患者さんの歯を守りたいと願っています。 TCHを改善するには? TCHは無意識の癖なので、ご自身で気づき、改善するのが難しいと感じるかもしれません。しかし、いくつかの方法で改善を目指すことができます。 * 気づくことから始める: まずは「もしかして今、歯が当たってる?」と意識することから始めましょう。パソコンのモニターや冷蔵庫など、目につく場所に「歯、離れてる?」と書いた付箋を貼るのも効果的です。 * リラックスする: 歯の接触は、ストレスや緊張と関連していることもあります。深呼吸をする、適度な休憩を取るなど、リラックスする時間を意識的に作ることも大切です。 * 歯科医院でのアドバイス: 当院では、TCHの改善に向けた具体的なアドバイスやトレーニング方法をご提案しています。必要に応じて、マウスピースの使用など、症状を軽減するための処置を行う場合もあります。 長年の癖を直すのは根気がいりますが、TCHを改善することで、大切な歯を長く健康に保つことができます。 虫歯がないのに歯がしみる、顎が疲れる、肩こりがひどい…など、もし心当たりのある症状があれば、それはTCHが原因かもしれません。ぜひ一度、やまもと歯科・矯正歯科医院にご相談ください。あなたの歯と全身の健康を守るために、一緒にTCH改善に取り組みましょう。