2019年12月31日

歯科からの食育

2年前の、日本の歯科医療における制度、システム的な改訂により子どもの食べる機能を育てるという観点で、それに対する歯科的な対処が評価されるようになりました。

これをもっと具体的に説明します。

昔と比べると子どもの食べる機能がおちているといわれています。摂食嚥下機能が下がっているということです。

つまり、正常な嚥下機能の獲得ができていない子が増加しているということです。

これは、間接的には窒息につながったり、栄養の摂取量が低下したり、偏ったり、歯並びがわるくなったり、出っ歯になったり受け口になったり、口をとじても奥歯は上下の歯が当たるけれど前歯はあたらない開口と呼ばれる状態となったりします。

そのため、直接、時には間接的に色々な健康問題、障害をおこします。

さらに、こういう状態で高齢者となれば、高い確率で嚥下障害をおこしやすくなります。

最近の嚥下障害の対応法で、よく「舌のアンカー機能」ということがかたられますが、

これは、舌の先が上顎前歯のちょっとだけ奥側(矯正歯科用語ではスポットと呼びます)にいって嚥下すると、しっかりとした嚥下ができるのでそれを意識して嚥下訓練をするというものです。

しかし、これ私のような矯正歯科をやってきた歯医者からすると、

おおくの高齢者の摂食嚥下の治療に関わっている人が、「舌がスポットに嚥下時に行くことを全ての人ができる」のを前提に話が進められていますが,これは、おかしのではないかと常々思っています。

(高齢者の摂食嚥下にかかわっている歯医者で矯正歯科もおこなっているのは、私のしるかぎりではほぼいません)

舌が嚥下時にスポットに行かない人はおおいです。そのほとんどのひとは、歯並びに何らかの問題をもっておられます(それに自身で気づいておられないかたもおおいですが)。

そしてそういうかたが、高齢者になって嚥下障害、または、嚥下に問題を持つ確率はかなり高いです。

まず子どもが正常な嚥下機能を獲得するイベントの大きな節目は、離乳中期です。

上顎前歯が生え、舌が前にだしずらくなり、その代わりに舌が上下に動くようになる時期です。

そして舌が上に上がり食べものを口蓋に押しつけて嚥下します。

しかし前歯が生えたのと同時に上手に舌が上下に動くようになるわけではなく、学習をともなって上手になっていきます。(舌の奥から前に向かって段々繊細になっていきます、母乳や哺乳瓶をずっと遅い時期や歳までしていると、赤ちゃんはミルクや母乳を舌の奥で吸っていて、前の舌は哺乳瓶を支えるだけしかしていません従って学習できなくなってしまいます)

これは何を言っているかというと、最初は、お母さんが離乳中期食を恐る恐る与えて、「食べれたわ」と喜びそして、今度は、もうちょっとしっかりした離乳中期食を食べさせ「食べれんかった、ごめんね」と言ってつぎは少しだけドロドロな離乳中期食をつくり「たべれたわ」と言って喜び、また今度はちょっとだけ食形態をあげ、こんなの繰り返して段々離乳食のレベルを上げていきます。

この段階を飛ばすと、問題がおきます。

また市販の離乳食はお母さんのような微調整を加えながら食形態を上げることができないので問題が起きる場合があります。また、料理が苦手な、いい加減な料理をするお父さんがこれをすると問題がおこりがちです。

次の重要なイベントとは離乳食完了期です。

何を持って離乳食完了期となるか、現段階では曖昧ですが、歯科的には、前から四番目に存在する乳臼歯(歯医者はこの乳臼歯をDとよんでます)が生えて、それで咀嚼できるようになることが条件です。

これで、咀嚼ができるようになります。

しかし、この乳臼歯Dが生える時期は個人差がすごく大きいです。ふつうの子でも、遅い子は、3歳ぐらいとなります。

最近の傾向として2歳児の窒息事故が少し増加していますが、以上のような口の機能(口腔機能)にあってない食品をあたえることがひとつの原因になっている可能性があります。

まとめ

子どもにどういう食べものを食べさせるかは、近所の、または友だちの同じぐらいに生まれた子どもを基準にするのではなく、口腔機能をメインとして決めるのが安全です(その他、色々なポイントがあります,例、粗大運動、よだれのでかた、最近は乳幼児の口腔乾燥も問題になっています高齢者のようなみてすぐわかる口腔乾燥ではありませんが)。