2019年03月10日

歯医者が行う外科的歯科矯正

日本を代表する(?)若手女優の有村架純さんのお姉さんが、整形手術をしたということを公表したという話題があり、ある情報番組で、執刀医が、どういう手術をしたか、詳しく説明していました。

よくよく話しを聞くと、我々歯医者が、歯科大学生の時に、かなり詳しく勉強をしなければならない分野、そのまんまの内容でした。

執刀医によると、

上顎(じょうがく、うわあご)の、骨切り(こつきり)をして上顎を奥に引っ込めた手術で、歯医者は、ルフォー1型(Le Fort)と呼ばれる骨折に準じた骨切り術でした。ルフォー1型は、上顎を水平に切って奥に引っ込める手術で、歯科大学の口腔外科で時々行われる手術です。

有村架純さんのお姉さんは、下顎も、引っ込める手術をしたということです。

下顎を引っ込める手術は、歯科口腔外科では、かなり多く行われている手術です。

私が歯科大学の臨床実習をうけていたころは、おおくは、夏に行われました。

その理由は、30年前は、この手術を受ける方のおおくは、大学生などの学生でした。

これが意味することは、夏休みという長い休みに、この手術を受けようということでした。

私も歯科大学の手術見学の時に、この手術をみて、その術式、手術過程を、詳しく書く課題を執刀医からありがたくも頂戴して、そのレポートの製作ため、なんにち間か徹夜した記憶があります。

そしてそのレポートが、意外と公式なものになったりしました、そういう当時辛かった懐かしい記憶があります。

歯科大学を卒業して以来、下顎骨骨切り術(歯科大学の学生用語では、顎切・がくせつと呼んでいました。)をみたことがないので、すっかり忘れてしまっていましたが、テレビで執刀医の解説を聞いて久しぶりに思い出しました。

この手術の執刀医の解説によると、上顎と下顎の両方を奥に引っ込めたということです。

つまり歯医者用語では、上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)で、上顎も下顎も両方前に出ていた状態ということになります。

この上下顎前突は、歯医者によっては英語のバイマックスとも呼んでいます(キザな歯医者か、ドロンパのようなアメリカ帰りの歯医者がそう呼んでいます、私の偏見かな?)。

この番組で、言っていたのは、

この手術の副作用は、噛み合わせがおかしくなることだと言っていました。

これを聞いて私は、歯医者としては、驚いてしまいました。

それはなぜかというと、こういう顎の手術は、もともとは、噛み合わせが悪い人の噛み合わせを、しっかり噛ませるための手術であるからです。

もしこの種の手術で噛み合わせが悪くなるのなら、手術の目的を考えれば、本末転倒ということになります。

確かに、30年前の歯科大学病院での臨床実習では、他科で顎の骨折の治療の手術をして、骨と骨がずれて繋がって噛み合わせする歯がほぼ無くなって、九州歯科大学病院で、また顎の骨を割って、くっつけなおす手術は、たまにありましたが。

ちゃんとした顎間固定(がくかんこてい、上顎の歯と下顎の歯をしっかりワイヤーでつなぎ締める)をすれば、噛み合わせはむしろよくなるというのが、ほとんどの歯医者の見解だと思います。