【科学が証明】食欲ホルモン「グレリン」は歯科で増やせる!?
「最近、食欲がないな」「前より食事の時間がかかるようになった」と感じていませんか?
食事は、ただ単にお腹を満たすだけでなく、生きる喜びや健康の土台となる大切な行為です。そして、この「食べたい」という意欲を司るグレリンというホルモンと、私たち歯科医院が行う口腔ケアが深く関わっていることが、最新の研究で明らかになっています。
今回は、食欲を増進させる「空腹ホルモン」グレリンの秘密と、摂食嚥下、そして歯科が果たす大切な役割について、具体的な研究成果を交えてお話しします。
グレリンってどんなホルモン?「空欲信号」の正体
グレリン(Ghrelin)は、主に胃から分泌されるホルモンです。
食前の空腹時や、絶食時に増え、脳の摂食中枢を刺激し、食欲を強く促します。
その他の作用として成長ホルモンの分泌を促したり、胃の運動を活発にしたりします。
グレリンは「さあ、お腹が空いたよ!エネルギーを補給しよう!」という強力なスタート信号を脳に送り、食事を始めるための**意欲(食欲)**を湧かせます。
しかし、要介護状態や低栄養状態にある高齢者の方々では、このグレリンの分泌リズムが乱れ、食欲がわきにくい状態になってしまうことがあります。
【重要な発見】歯科がグレリンを刺激する!?
ここで注目したいのが、九州歯科大学の元教授である柿木保明先生らの研究成果です。
柿木先生らは、非経口摂取(口から食事をしていない)の要介護高齢者に対し、通常の清掃に加えて、口腔内の粘膜や舌をマッサージなどで刺激する**「機能的口腔ケア」**を実施し、グレリン値の変化を調べました。
研究の結果、ケアを実施する前は、食前のグレリン濃度上昇が見られない平坦な分泌状態だったのに対し、機能的口腔ケアを継続したところ、食前にグレリン濃度が上がり、食後に下がるという、本来あるべき生理的な分泌リズムが回復したことが報告されました。
歯科医療の新たな役割
この研究は、以下の極めて重要な可能性を示しています。
口腔への刺激が食欲を回復させる: 舌や粘膜への物理的な刺激(マッサージや清掃)が、自律神経系などを介して胃に作用し、グレリン分泌を促していると考えられます。
歯科が全身の栄養改善に貢献: 口腔ケアは単に虫歯や肺炎を予防するだけでなく、「食べたい」という意欲そのものを回復させ、低栄養の改善に貢献できる可能性が示されたのです。
山本歯科・矯正歯科が食欲・栄養をサポートする理由
私たちは、このグレリンと口腔機能の関係性を理解し、皆様の「食べる喜び」を全身の健康につなげるため、以下のサポートを行っています。
1. 「噛む」力を回復させる治療
食欲があっても、歯が痛い、入れ歯が合わない、などで「噛む」ことが苦痛であれば、食事量は減ってしまいます。 入れ歯の精密な調整・作製やインプラント治療、矯正治療などにより、安定した噛み合わせを取り戻し、咀嚼機能を回復させます。
2. 「機能的口腔ケア」とリハビリテーション
柿木先生の研究にあるように、当院の定期的な専門的口腔ケアは、お口をきれいにするだけでなく、粘膜や舌に適切な刺激を与えることで、グレリン分泌リズムを整える手助けとなります。 また、嚥下障害のサインが見られる方には、舌や頬の筋肉トレーニングの指導も行い、飲み込みの力を維持・向上させます。
3. 味覚と食欲の維持
お口の中が不潔だと、味覚が鈍り、食べ物の美味しさが感じられなくなって食欲が減退します。 定期的なPMTC(プロによる歯の清掃)により、舌や歯の汚れを取り除き、食べ物の**「美味しい!」という感覚**を正しく感じられるようにサポートします。
最後に
「山本歯科・矯正歯科」は、歯の治療だけでなく、「噛む」「飲み込む」そして「食べたい」という意欲といった、人が生きていく上で不可欠な機能を総合的にサポートする**「食のパートナー」**でありたいと考えています。
「最近、どうも食が進まない」「噛むのが辛くなってきた」と感じたら、それはもしかすると、お口の機能とグレリン分泌リズムにSOSが出ているサインかもしれません。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。