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「梨は虫歯予防になる」は本当?歯医者が見て看過できない、テレビ情報のウソ・ホント

テレビ番組で「梨は虫歯予防になる!」という情報を見て、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 患者さんからも「先生、本当に梨を食べたら虫歯になりませんか?」と聞かれることがあります。 歯科医として、この誤解を招く表現は看過できません。 今回は、この情報がなぜ不正確なのか、正しい見解をお伝えします。 なぜ「虫歯予防になる」と言われるのか? この話の背景には、いくつかの事実が混在しています。 1. ソルビトールという成分: 梨にはソルビトールという甘味成分が含まれています。 これは、キシリトールと同じ「糖アルコール」の一種で、虫歯菌が酸を作り出しにくいため、虫歯になりにくいとされています。 2. 唾液の分泌を促す: 梨のシャリシャリとした食感は、よく噛むことを促します。 よく噛むことで唾液の分泌が増え、口の中の食べかすを洗い流したり、虫歯で溶けかかった歯を修復したりする手助けになります。 しかし、これらの事実があるからといって、「梨は虫歯予防になる」という結論にはなりません。 キシリトールガムと梨は全く違うここが最も重要なポイントです。 キシリトールガムには、虫歯予防効果が科学的に証明されています。 キシリトールは虫歯菌の活動を弱め、歯の再石灰化(修復)を促進する働きを持つからです。 一方、梨には、キシリトールガムのような積極的な虫歯予防効果があるという科学的エビデンスはありません。 なぜなら、梨には虫歯菌の栄養源となる果糖やブドウ糖も含まれているからです。 歯科医が考える正しい見解テレビで使われる「虫歯予防になる」という表現は、多くの人に誤解を与えてしまいます。 より正確に言うならば、梨は「他の多くの食品(砂糖菓子やジュースなど)に比べて、虫歯になりにくい特性を持っている果物」です。 しかし、梨を食べたからといって、虫歯にならないわけではありません。 虫歯は、特定の食べ物だけで決まるものではなく、毎日の歯磨きや生活習慣が大きく影響します。  キシリトールガム:積極的に虫歯を予防する効果が期待できる  梨:他の食品と比べて虫歯リスクが低い傾向がある この違いを理解することが、皆さんの歯を守る上で非常に大切です。 美味しい梨を楽しんだ後は、しっかりと歯磨きをしてくださいね。ご自身の歯を守るために、正しい知識を身につけていきましょう。