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誤嚥性肺炎を防ぐ鍵は「舌」にあり!歯科でできる口腔機能ケア

皆さん、こんにちは!やまもと歯科・矯正歯科医院です。 今回は、高齢者の方に特に多い「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」と、それを防ぐために重要な「舌」の力、そして私たち歯科医院でできるケアについてお話したいと思います。 誤嚥性肺炎ってどんな病気? 誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管に入り、肺で炎症を起こす病気です。特に高齢者の方は、飲み込む力が衰えることで、知らず知らずのうちに誤嚥を起こしやすくなり、その結果、命に関わる重篤な肺炎を引き起こすことがあります。 嚥下障害と舌圧の深い関係 「食べ物をうまく飲み込めない」「食事中にむせる」といった症状は、**嚥下障害(えんげしょうがい)**のサインかもしれません。嚥下障害の背景には、さまざまな原因がありますが、その一つに「**舌圧(ぜつあつ)**の低下」が挙げられます。 舌圧とは、舌が上あごに押し付ける力のこと。この力は、食べ物を効率よく砕いて、唾液と混ぜ合わせ、食塊(食べ物の塊)を作るために不可欠です。そして、その食塊をのどの奥へスムーズに送り込む役割も舌が担っています。 もし舌の力が弱くなると、 * 食べ物が口の中に残ってしまう * うまく飲み込めず、のどに引っかかる感じがする * 食事中にむせやすくなる * 誤嚥のリスクが高まる といった問題が起こりやすくなります。 舌圧の数値と嚥下機能の目安 舌圧測定を行うことで、舌の力を客観的な数値で評価できます。一般的な目安としては、以下のように考えられます。 * 20kPa(キロパスカル)以下: この数値以下の場合、嚥下障害である可能性が高いとされています。舌の力が不十分で、食べ物や唾液を安全に飲み込むことが難しい状態にあると考えられます。 * 20kPa〜25kPa: この範囲はボーダーラインとされています。舌の力がやや低下している可能性があり、嚥下機能に注意が必要な段階です。 * 25kPa以上: 舌圧だけを見ると正常範囲と考えられます。この場合でも嚥下障害がある場合は、舌圧以外の原因(のどの動き、神経系の問題など)が考えられます。 このように、舌圧は嚥下機能の一つの重要な指標となります。実際に、舌圧が低い方は誤嚥性肺炎のリスクが高まることが分かっています。 「口腔機能」を総合的にケアする重要性 誤嚥性肺炎の予防には、舌の力だけでなく、お口全体の機能、つまり「口腔機能」を健康に保つことが重要です。口腔機能には、噛む力、飲み込む力、唾液の分泌量、舌の動き、発音などが含まれます。これらの機能が総合的に低下することを「オーラルフレイル」とも呼び、全身の健康にも影響を及ぼします。 歯科医院でできる誤嚥性肺炎の予防と口腔機能ケア 「あれ?最近、むせやすくなったな」「食事がしんどいな」と感じたら、ぜひやまもと歯科・矯正歯科医院にご相談ください。私たち歯科医院では、誤嚥性肺炎の予防や口腔機能の維持・向上をサポートするために、以下のような取り組みを行っています。 * 舌圧測定: 舌の力を客観的に測定し、現状を把握します。この舌圧測定は、保険診療の対象となる場合があります。 嚥下機能の低下が疑われるなど、一定の条件を満たせば保険適用で検査が可能ですので、ご相談ください。 * 口腔機能評価: お口全体の機能を詳しくチェックし、問題点を特定します。 * 口腔衛生指導: お口の中を清潔に保つことは、細菌の繁殖を防ぎ、誤嚥性肺炎のリスクを減らす上で非常に重要です。 * 舌や口周りのトレーニング指導: 舌や唇、頬の筋肉を鍛えるトレーニング方法をご提案し、ご自宅での実践をサポートします。パタカ運動(「パ」「タ」「カ」を繰り返し発音する運動)なども効果的です。 * 入れ歯の調整・作製: 合わない入れ歯は咀嚼や嚥下を妨げます。適切に調整された入れ歯は、しっかり噛んで飲み込むための基本です。 舌の力や口腔機能は、年齢とともに衰えやすいものですが、適切なケアとトレーニングで維持・改善が可能です。お口の健康は、全身の健康と深くつながっています。 気になることがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽に当院までお問い合わせください。 やまもと歯科・矯正歯科医院 スタッフ一同