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訪問歯科診療と「噛む」ことの真実:歯だけでは語れない、その奥深さ

やまもと歯科・矯正歯科医院のブログ記事をご覧いただきありがとうございます。 私たちは普段、「歯があれば何でも噛める」と思いがちです。しかし、訪問歯科診療や高齢者歯科に携わる中で、その認識が必ずしも真実ではないことを痛感しています。 医療モデルから生活モデルへ:口腔ケアの新たな視点 従来の医療モデルでは、病気を治すことに焦点が当てられてきました。もちろん、虫歯や歯周病の治療は非常に重要です。しかし、特に高齢の方々を診させていただく中で、私たちは**「生活モデル」**という視点を強く意識するようになりました。 生活モデルとは、病気を治すだけでなく、その方の日常生活の質(QOL)をいかに高めるか、という考え方です。歯科医療においても、単に歯を治療するだけでなく、患者さん一人ひとりの「食べる」「話す」「笑う」といった生活行為を、より快適に、より豊かにしていくことを目指しています。 歯があっても噛めない!?「噛む」を支える見えない力 「歯がしっかりしているのに、どうも食べにくい…」 「入れ歯を入れているけれど、うまく噛み砕けない…」 このようなお悩みを耳にすることがあります。実は、「噛む」という行為は、歯の力だけで成り立っているわけではありません。 私たちがお食事をする際、食べ物を口の中に取り込み、歯で噛み砕き、そして飲み込むという一連の動作を行います。この時、舌や頬の粘膜、唇、そして唾液の分泌など、様々な器官が連携して働いています。 例えば、舌は食べ物を歯の上に運び、左右に移動させる重要な役割を担っています。また、頬の粘膜は食べ物が頬と歯の間に挟まるのを防ぎ、効率的に噛むことを助けます。唾液も、食べ物をまとめることで飲み込みやすくしたり、消化を助けたりする大切な役割を持っています。 これらの機能が、加齢や病気によって低下してしまうと、どんなに健康な歯があっても、うまく食べ物を噛み砕き、スムーズに飲み込むことが難しくなってしまうのです。 入れ歯の難しさ:失われた機能を補うために ご自身の歯に比べて、入れ歯で食事をするのが難しいと感じる方も少なくありません。これは、入れ歯が人工物であり、舌や頬の動きに合わせて自然に食べ物をコントロールするのがより難しくなるためです。また、入れ歯を安定させるためには、残っている歯や顎の骨の状態、そしてお口全体の筋力も大きく関係してきます。 複雑な「噛む」機能をサポートするために 私たちは、患者さんが「噛む」喜びをいつまでも感じられるよう、歯の治療はもちろんのこと、舌や頬の運動指導、唾液腺マッサージなど、口腔機能全体の向上を視野に入れたサポートを行っています。 訪問歯科診療では、患者さんのご自宅や施設で、その方の生活環境に合わせたきめ細やかなケアを提供しています。「歯があれば大丈夫」という常識を越え、お一人おひとりの「噛む」ことの真実に向き合い、より快適な食生活を送れるようお手伝いさせていただきます。 ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にやまもと歯科・矯正歯科医院までお問い合わせください。