医科歯科連携
最近、よく話題になるのが、医科歯科連携の問題です。
昨日は、がん医科歯科連携の講演会が富山市で開催されました。
東京の国立がん研究センターの医師、歯科医師がビデオでの講演を行いました。
その中で、面白かったのは、全身麻酔の時のトラブルの3分の1が、歯に関するものだということです。
一般的には、麻酔科医は、全身麻酔をするには、金属でできた器具(喉頭鏡こうとうきょう)を口からいれて、喉の奥を直視する必要があります。それで、チューブを気管に挿入します。その時、喉の方に気をとられすぎて、喉頭鏡の端が、歯に強く接触したり、歯をテコにして、喉頭鏡を入れると、歯が、欠けたり、折れたり、脱臼、歯が抜けたりします(もともと、歯が歯周病などで、グラグラしていると、口に喉頭鏡をいれると少し触れただけで歯が脱落、抜けてしまうぐらいの方もおられます)。
これが、全身麻酔の時のトラブルの一つで、かなりの頻度でおきます。
私が、歯科大学病院で、臨床実習をしていたころ、全身麻酔の時は、麻酔科医は歯を損傷しないようにかなりの注意をしてました。歯科大学病院での全身麻酔でしたので、その歯科大学での全身麻酔で、歯に損傷を与えたらシャレにならないという意識が、 麻酔科医にはかなりあったとおもいます。歯科大学での授業で、学生の、モデルを使った実習でも、喉頭鏡がモデルの歯に触れたりすると、担当教官から、怒鳴られたりします。
この、全身麻酔時におこる可能性がある歯の損傷を防ぐために、全身麻酔の時に 歯にマウスピースをはめて、その上で全身麻酔を行うと(喉頭鏡を操作してチューブを挿入すると)、そのマウスピースがプロテクターの役割をして、歯を損傷する事が、ほとんどなくなるということがわかり(厳密に言えば、前から、ほぼ、分かっていたいたことなのですが、どれぐらい効果があるかの数値、統計が最近知れるようになったと聞いています)この4月から、このマウスピースの製作装着のための費用が、歯科の保険でも導入されるようになりました。
このマウスピースは、最近、歯科では口腔内装置(こうくうないそうち)と呼ぶようになっています。
歯科医師が、がんなどの手術の全身麻酔での治療時に、前もって、型を取り、歯の保護のためのマウスピース(口腔内装置)製作、装着すれば、歯に対する損傷が、激減してトラブルを回避することができます。この、マウスピース(口腔内装置)の製作は歯科としては、かなり簡単にでき、その、効果が絶大で、すばらしい方法です。
このマウスピース(口腔内装置)については、、歯科医師は知っていますが、全国の、手術がおこなわれる現場の医師が知っているかどうかは、不明です。この不明だということ自体が、医科歯科連携しなければならない理由ですが。
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