インフルエンザウイルスと歯科のかかわり
今年はコロナ一色でインフルエンザが流行る兆候は今までのところなさそうですが、例年、インフルエンザで亡くなられる方は、日本で何千人かおられます。
そして、その中で多くが高齢者となります。
そこで、今回は大阪大学歯学部の教授先生、川端歯科医師の研究で面白いのがありましたので、歯科との関係を踏まえながら、ご紹介します。
インフルエンザと連鎖球菌の研究です。
まず、インフルエンザによる死因の多くは、インフルエンザウイルスの感染のあとに続く細菌感染、つまりウイルスと細菌の2つの感染が同時におきることによります。つまり混合感染、別の言い方をすれば重感染です。
その細菌のなかで、重要なのは連鎖球菌です。連鎖球菌は歯科分野である口腔内や、鼻腔、喉に存在します。
そこでマウス(ハツカネズミ)を使った実験
マウスにインフルエンザウイルスだけ感染させた場合、マウスは一匹も死ななかった。
そして、連鎖球菌だけを感染させた場合も、マウスは一匹も死ななかった。
そして、インフルエンザウイルスを感染させて、その2日後に連鎖球菌を感染させた場合、1週間後、ほぼすべてのマウスが死んだという結果でした。
(そして、時々テレビでとりあげられてますが、その中の数匹に一匹の割合で上肢や下肢の筋肉がくさる劇症型連鎖球菌感染症になりました。)
ここでは、専門的になりすぎるので書きませんが、色々な証拠からヒトにも同じことがおきると考えられています。
電子顕微鏡でみてみると
連鎖球菌のまわりに多くのインフルエンザウイルスが直接結合している。
そして、それが肺の色々なところに存在する
肺胞が潰れて、充血している
免疫学的には
炎症性サイトカインが非常に多くでてきます。
というものでした。
連鎖球菌は口腔内におおくあります。
そして、喉にもおおくあります。
歯医者として、よく感じるのは、口腔内が汚れている方は喉も汚れているということです。
口腔内が汚れている方の喉を、内視鏡で見てみるとやっぱり汚れているということです。
また、連鎖球菌の一つである肺炎球菌は鼻腔に多く存在しますが、口腔内にも存在します。
口腔内の細菌は、喉や鼻腔の細菌と影響しあっています。
従って、歯科的観点からは
口腔内をきれいに保つことは、とても重要になります。
口腔内をきれいに保つには、歯みがき、口腔ケアなどできれいに手入れをする。
そして、口呼吸ではなく鼻呼吸をする必要があります。