脳卒中と虫歯の原因菌であるミュータンス菌(ストレプトコッカスミュータンス)について
虫歯は細菌感染によっておきます。
多くはミュータンス菌(ストレプトコッカスミュータンス)と呼ばれる細菌です。
ミュータンス菌が出す酸によって歯は溶けていきます。
この虫歯の原因菌であるミュータンス菌が虫歯だけではなく、命に直結する病気である脳出血を引き起こすことがあるというのが先月、大きな話題とりました。(以前から話題にはなっていたのですが今回研究により証明されました)
国立循環器病研究センター、大阪大学歯学部、慶応義塾大学医学部の研究グループによると
脳の深部に行く血管、穿通枝(せんつうしと読みます)における脳出血を調べたものです。
虫歯菌であるミュータンス菌の中でもcnm遺伝子をもつミュータンス菌つまりcnm陽性ミュータンス菌が深く関わっていることがわかりました。
cnm陽性ミュータンス菌は日本人の5人に1人が持っています。
ですので、確率的にはかなり高いです。
cnm陽性ミュータンス菌を 持っている人は、cnm陽性ミュータンス菌を持ってない人と比較すると、4.7倍の高い頻度で微小な脳出血が起きることが確認されました。
このメカニズムは
cnm陽性ミュータンス菌は、口腔内で色々な刺激により血管内に入り込みます。
そして、それが血流にのり、脳に運ばれていきます。
高齢や高血圧や糖尿病などにより傷ついた脳の穿通枝の血管の基底膜に
(cnm陽性ミュータンス菌の特徴であるコラーゲンとの接着しやすさにより)
傷ついた血管基底膜にcnm陽性ミュータンス菌がくっ付き、それにより血管に炎症おきます。
それにより血液を固まらせる作用がある血小板のちからを弱めて
さらに、その血管の炎症部から出血するものと考えられています。
このcnm陽性ミュータンス菌による脳出血のリスクを下げるには
一度感染したcnm陽性ミュータンス菌をゼロにするのは不可能です。
ですので、できるだけその数を減らす、コントロールすることが大切となります。
そのためには、口腔内をきれいにたもつことが重要となります。
時間をかけた丁寧な歯みがきとフロスをすることが基本となります。
そして定期的に歯科医院で歯の表面にある虫歯菌であるミュータンス菌をゴム性のチップでこすりおとす(歯医者、歯科衛生士はPMTCと呼んでいます)ことが重要となります。
(歯表面のミュータンス菌はバイオフィルムと呼ばれる歯と強く接着するヌルヌル成分の中に存在して、うがいやリンスではとれません。)