2020年12月08日

環境と遺伝、どっちが歯並びを決めるか?

多くの方が、歯並びは遺伝で決まっているのでどうにもならない、と思っておられます。

実際にこれは真実かというと、私を含め多くの矯正歯科医は環境の方がかなり影響すると思っています。

ここで言う環境とは、舌の位置や動き、唇の位置や動き、頰粘膜の位置と運動などがあります。(その他細かい要素もありますが)

また、小さい時の虫歯も歯並びに影響しますし、嚥下や食べる機能の発達も影響します。

アデノイド(咽頭の上の方にある膨らみ)も影響します。

肘をつく癖、なども影響します。姿勢も影響します。

唾を飲み込む時に下唇の下の顎が、梅干しみたいになる子は、歯並びがかなり悪くなります。

4歳を過ぎての指しゃぶりは、出っ歯や開口(奥歯で噛んだ状態でも前歯の上下の歯の間に隙間ができる、歯医者用語ではオープンバイト)になります。

 

小児期の受け口の子どもをみると、おおくの場合、舌小帯と呼ばれる舌の下にある口腔底からのびるスジが短くて口腔の天井である口蓋に舌がとどかず、下顎の裏側を舌が押す形となっている場合がおおいです。

そして特に嚥下をする時に、下顎を強く前に押してしまいます。

ヒトは、だいたい1600回嚥下しますが、1日に600回も舌で強く下顎を押せば前に出て受け口になるのも当たり前です。

本当に、数え切れないほどの遺伝以外の要素があります。

それを解決する方法にMFTがあります。これは英語の頭文字を取ったものですが、日本語では、筋機能療法と言われるものです。

筋機能療法(MFT)は口腔を構成する筋肉が正常にストレスなく動くように訓練するものです。

そのゴールは大きく4つあります。

鼻呼吸を獲得する(口呼吸は典型的には出っ歯になります、条件によっては受け口になることもありますし、ガタガタの歯並びになることもあります)

舌は昼、夜を通して口腔の天井である口蓋に接触する状態にする(舌の先も奥のほうも)

正常な嚥下パターンをみにつける。

普段は上下の唇はとじて、上顎と下顎の歯は接触しない。(僅かに上下の歯と歯は開いた状態で、歯医者は安静空隙と呼んでいる

 

以上の4つを獲得することが、目標となります。

これを達成する為のトレーニングをするのが筋機能療法(MFT)ということになります。

これは、歯科医院では普通、歯科衛生士が中心となっておこないます。

 

最近は歯科や内科、リハビリテーション科で高齢者の摂食嚥下障害の治療に当たるようになっていますが、これには多くは、矯正歯科のMFTの考えが生かされています。

しかし、面白い事に摂食嚥下障害と矯正歯科のMFTを両方行っている医療者、歯医者はそんなに多くはいません。

私の知る限りでは日本に私を含めて数人しかいません。

多分私の知らない範囲では多数おられるのでしょうけど。

 

逆に

上記の4目を達成しないと、歯科矯正治療直後にいい歯並びを獲得できても、後戻りしてしまう結果となります。