2020年09月21日

敬老の日特集 噛み合わせと死亡事故

高齢者の不慮の事故による死亡事故で、一番多いのは、誤嚥等による窒息です。(交通事故の約3倍です)

2番目に多かったのは転倒・転落が続きます。

歯科大学の教授による面白い研究があります。

(大学歯学部や歯科業界に、摂食嚥下の対応が導入されて30年近くなります。

私が歯科大学を卒業して間もなく後のこと になります。

そして現在、私と同世代の歯科医師が大学歯学部で最初の生え抜きの摂食嚥下の教授となっています。それ以前は補綴科つまり入れ歯科から摂食嚥下の科に転向した歯科医師がメインでした)

その中のある教授先生の研究によると、

複数の介護老人福祉施設での3年間の追跡調査による研究結果で

437人のうち、51人に窒息がおきました。

そしてその窒息の危険因子は3つでした

臼歯部に噛み合わせがない

認知機能低下がある

食事を自分でたべている(本当は誰かの助けが必要であった場合もある可能性もあった)

ということです。

の臼歯部に噛み合わせがなければ、丸のみになってしまいますので、やはり窒息がおきやすくなります。

これは子どもでもそうで、乳臼歯が完全に生えていなければ、窒息事故がおきやすくなります。

この高齢者の窒息をできるだけ防ぐためには、以上の3つリスクをふまえた、きめ細かい対応が必要になります。

 

つい最近の窒息事故の判決

7年前に老人施設で誤って普通のドーナツを食べて死亡窒息事故を起こした看護師の刑事事件の最終的判断が裁判所でありました。1審では有罪、今回の高裁では無罪ということになりました。

事故の経緯はどうであれ、介護現場、摂食嚥下業界、歯科業界は、ひとまずホッとした状況です。

これには、複雑な問題があり、細かい経緯はどうであれ、この裁判自体が現場を萎縮させる( つまり高齢者のQOLはニの次で、場面、場面の近視眼的安全が最優先される)傾向が強くなったような気がします。

この傾向は高齢者の幸せ、充実した人生を送ることに逆行しています。

そして、これには

もっと根本的な問題もふくまれています。

たとえば、医療資源、介護資源の問題もあります。(一般のかたは、資源は無限にあると思っておられる、または考えたことがないとおもいます。今回の新型コロナ危機でも医療資源が無限にあることを前提に話をされるテレビのコメンテーターが初期には多くおられました) その他、色々な問題を含んでいます。

なかなか簡単に解決できる問題ではないような気がします。

 

高齢者の死亡事故で2番目に多かったのは転倒・転落で、

転倒には、これも臼歯部の噛み合わせがないというのもかなりの危険因子になります。

紙面の都合上、これについては 機会を改めていずれご説明します。