2020年06月21日

歯科疾患でも歯医者だけでは問題が解決できない場合が多々あります

その中の一つが産婦人科的な原因がある場合です。

ということで今回は、産婦人科的な関連と、時には産婦人科医師によるアプローチが有効な歯科疾患についてです。

①歯周病と早産や低出生体重児リスクとの関係

1990年代の半ばに、海外で(妊婦の)歯周病と,早産と低出生体重児リスクに関する研究結果が発表されて以来、さらなる研究が日本を含め世界でおこなわれました。

色々なエビデンスから妊娠中に歯周治療を行い口腔内をきれいに保つことにより低出生体重児リスクをへらせるのではないかと考えられるようになりました。

また、歯周病がある妊婦が、塩化セチルビリジニウム(CPC)という物質が入ったオーラルリンスでうがいをすることによって早産と低出生体重児リスクが下がるという研究結果も報告されています。

 

②歯周病と不妊治療に関して

歯周病がある人で不妊治療を受けている人は、歯周病がない不妊治療を受けている人に比べて、妊娠にかかる期間が、平均値で2.0ヶ月長かったという研究結果*⑴があります。

また、歯周病の男性は、精子数や活動率が低く、またEDとの関連性もあります。

 

③ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頚がん、そして口腔がんの関係

子宮頚がんの95%は、HPVの感染が原因です。

このHPVの感染予防のためのワクチンができていてイギリスやオーストラリアでは女性のワクチン接種率は70%を超えており、すでに目で見える効果が表れてきています。

日本では未だに、ワクチン接種率は1%にもみたない状況で子宮頚がんの罹患数は増加傾向にあり毎年1万人が罹患して3000人が亡くなっています。

日本では、副反応を未だに信じている政治家、ジャーナリスト、メディア関係者が多く、助けられる命を無駄に失う結果と なっています。

イギリス、オーストラリアでは、ワクチン接種率が高いため、集団免疫的な効果も現れてきています。つまり、ワクチンを受けてない人の罹患率も下がっています。

また、HPVは、中咽頭がんや、舌がんの原因ともなっています。歯科口腔外科領域では、舌がんが問題となります。日本では、他の先進国とは違い口腔がんは増加傾向にあります。色々な要因はありますがHPVも関与していると考えられています

中咽頭がんの50~60%はHPVが原因といわれています。

HPVと関係があるかないかはわかりませんが最近、芸人のペナルティーのワッキーさんが中咽頭がんになったとう報道がありました。中咽頭がんは増加傾向にあります。

 

④エストロゲンと歯科の関係

エストロゲンは女性の人生で、ライフスタイルを大きく影響する因子です。

初潮と閉経の境目で3つのステージがあります。

ホルモンであるエストロゲンと反応するエストロゲン受容体(ER)は卵巣、乳、子宮だけではなく全身に分布しています。

閉経でエストロゲンのレベルは低下します。

歯科口腔領域では、

ERは、顎の骨、歯茎、唾液腺にも存在します。

エストロゲンレベルが低下すると炎症がおきやすくなります。歯周炎も起こりやすくなります。

それで口腔の細菌叢も変化します。

またエストロゲンレベルの低下は唾液腺に影響して唾液の量をへらします。

これによりさらに、虫歯になりやすい、歯周病になりやすくなります。

さらに、口腔乾燥症ドライマウスもおきやすくなります。そして舌痛症、味覚異常にもなります。

最近では、歯医者が恐れる不定愁訴を訴える患者さんの一定数の方はこれで説明がつきます。

解決法

低下したエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)

HRTは低下したエストロゲンによっておきる更年期障害、脂質異常症、骨粗しょう症だけでなく 歯科口腔外科的な病気を改善させることができます。

HRTは口腔乾燥ドライマウスの治療に有効です。唾液腺に働きかけるためです

また、歯周炎への効果もあると報告されています。

歯を失う数も減少させることができたという研究結果もあります。

HRTの副作用

乳がんのリスクを上げるといわれています。アルコールをのんだり肥満が乳がんをおこすリスクよりは低いといわれています。

逆に、HRTは大腸がん、胃がん、肺がんのリスクをさげます。

トータルでは、がんのリスクが下がるのではないかといわれています。

 

参考文献

*(1)Hart R. Doherty DA, Pennell CE,Newnham JA,Newnham JP: Periodental desease