歯医者のウイルス学 その2
このブログに以前書いたウイルスについての説明は、かなり評判が悪く
何を言っているか全然分からなかったと言うことなので(ある歯科衛生士の意見)、今回は、もう少しわかりやすく書きます。
まず、コロナウイルスについて理解するにはインフルエンザウイルスについて理解する必要があります。
その理由は、この二つのウイルスは構造的に共通点がおおいからです。
スペインかぜ(アメリカではじまったインフルエンザですがスペインかぜです)
スペインかぜはインフルエンザで、100年ぐらい前に起きました。
日本でも多くの死亡者を出しました。
その100年ぐらい前の歯科医師で、面白い研究をした人がアメリカにいます。
アメリカ歯科医師会の会長もされていたウエストン プライスという歯医者です。
260人のアメリカ人とイギリス人について調べた研究です。
スペイン風邪の罹患率は、
歯科感染症を持っていた人の罹患率は72%でした。しかも、重症になる人が多かったということです。
歯科感染症を持っていなかった人の罹患率は32%であったということです。
100年前から、こんなことに注目した歯医者がいたこと自体に驚きではあります。
ヒトにうつる風邪のコロナウイルスは、4種類あります。あまりにもありふれているので、注目されることはあまりありません。
多くの場合は、5歳になるまでに感染してしまいます。
その他にはサーズと中東呼吸器症候群のマーズがあります。
今回の新型コロナウイルスは7種類目のヒトに移るコロナウイルスです。
コロナウイルスの感染の仕方はインフルエンザウイルスの感染の仕方と似ています。(コロナウイルスの感染形式のほうがインフルエンザウイルスのものより、少し複雑です)
感染しようとするヒトの細胞の表面に鍵穴があり、その鍵穴にあったインフルエンザウイルスの表面のちょうど形があった鍵の部分が差し込まれてそのウイルスとヒトの細胞とが一体化する反応、つまりウイルスの中心部の核が、ヒトの細胞内に取り込まれます。そしてそのヒトの細胞内でその核が複製され増殖します。
その時に、その鍵の差し込みをたすける物質があります。
それがプロテアーゼとよばれるものです。
それは、ヒトの細胞の物もありますし、もう一つ重要なのは、喉の表面にある細菌から出されるプロテアーゼもあります。喉の表面にもともと細菌が存在するとインフルエンザウイルスがヒトの細胞に進入する手助けよなってしまうということです。
この細菌には、ブドウ球菌であったり、歯周病の原因菌などがあります。
また、これらの細菌が出す物質の中にはプロテアーゼとは別に、喉の表層にある薄い膜(唾液由来の糖タンパク)をとかして、進入したウイルスが直接喉の細胞にくっつきやすくなったりする物質もあります。
ということで、
口腔内が汚れていれば、喉も汚れていて(私も、嚥下内視鏡でいろんな人の喉を見るたびに口腔内が汚れている人は、のども汚れていることを実感します)、それでウイルス感染しやすくなります。
従って、口腔内をきれいに保つことは、インフルエンザの予防になるということは多くの研究者の論文で明らかになっています。
そして感染形式がインフルエンザウイルスと似ているコロナウイルスでも、同じことが言えると予想されます。
歯磨きを時間をかけて、丁寧におこない、舌ブラシで舌もきれいにしましょう。