2020年03月01日

サルコペニアとは筋肉の量が減って、筋力が低下した状態です。

簡易的な目安は、

下腿周囲長(ふくらはぎの太さ)が、男性では30センチ以下 女性29センチ以下で

握力が男性で28kg、女性では18kgより低い時は

サルコペニアということになります。(愛知医科大学前田准教授によると)

サルコペニアの原因は

①加齢

②低活動

③低栄養

④病気(炎症や癌などに代表されるような)

サルコペニアは、足や手、体幹の筋肉においては寝たきりの原因になります。

歯科領域では、嚥下に関係する筋肉においては嚥下障害の原因となります。

 

全身の筋肉と歯科領域の筋肉は相関することが色々な研究でわかっています。

例えば、上腕筋量と舌の厚みは相関しています。(Tamura F,et,al.Dysphagia 2015)

 

サルコペニアによる摂食嚥下障害には、オトガイ舌骨筋(下顎と舌骨を繋ぐ筋肉)がよく話題にのぼります。この筋肉は測りやすいからです。

 

先日、或る歯科セミナーでオトガイ舌骨筋(下顎と舌骨を繋ぐ筋肉)の面積をはかるためのエコー(超音波画像)の説明をしてました。

オトガイ舌骨筋の面積を知ると

オトガイ舌骨筋の面積が減ると、舌圧(舌の押すチカラ)が低下して、嚥下時間が長くなり、口を開けるチカラが弱くなることがわかっています。

また、色々な手術の後で、嚥下障害をおこした方のオトガイ舌骨筋の面積が減少ていることも証明されています。(Shimizu S et al Kawasaki Medical Journal.2016)

このオトガイ舌骨筋の面積で将来、サルコペニアによるによる嚥下障害の診断に役に立ちそうです。

 

多くの歯科医院で持っている器械の中に舌圧測定器があります。

やまもと歯科医院でも、舌圧測定器があります。

この舌圧測定器でも、摂食嚥下機能に関して色々なことがわかります。

 正常な舌圧は30kPa(キロパスカル)以上です。

この舌圧が20kPa(キロパスカル)ぐらいになると、病気を持っていない方でも最近飲み込みづらいと患者さんは言われます。(25kPaぐらいから、自覚症状がでてきます)

患者さんにとってみれば、舌圧はある日、急に低下したのではなく、徐々に低下しているので舌圧が20kPaぐらいになると、何とか飲み込んでおられるように見えますが、

横で見ている私には、かなりムリがあるようにみえます。

という事で、舌圧20kPa以下の場合は、サルコペニアによる嚥下障害の可能性が高いということになります。

 

サルコペニアによる摂食嚥下障害の場合は、脳血管障害などの従来の原因疾患による嚥下障害よりも生命予後がわるいことがわかっています。(Bock JM et al.Laryngoscope.2017[in press])

また、サルコペニアによる嚥下障害を治す栄養量は中々実現可能な量ではない為、それよりも予防するという事が現実的な対応となります。

歯科においては、最近、口腔機能低下症という考えが、保険歯科診療にも導入されました。

この口腔機能低下症はサルコペニアによる嚥下障害の予防という側面とオーバーラップする部分も多いですので歯科医師として、サルコペニアによる嚥下障害の予防にもチカラを入れていこうとおもいます。