2020年02月20日

鼻咽腔閉鎖機能

この機能は歯科用語では、口蓋帆咽頭閉鎖機能(こうがいはんいんとうへいさきのう)とよんでいます。

そして最近の医療界の流行語では、鼻咽腔閉鎖機能(びいんくうへいさきのう)とも呼んでいます。

どうしてこの鼻咽腔閉鎖機能が医療界で流行語になっているかは、摂食嚥下の分野の研究がある意味、流行になっているからです。

具体的には何を意味しているかというと、例えば、

ヒトは、食べる時以外は、鼻から空気を取り込んで

喉にその空気は行きそして気管から気管支、肺へと送られます。

また、空気は口からも吸うことができ、吐く時も、息は口からも出せますし、鼻からも出せます。

つまり空気に関しては、口も、鼻も喉(咽頭)を介して繋がっています。

その繋がっている口と鼻は、食べる時には、明確に繋がりが無くなり、分断されて食べ物が鼻から出なような動きをしています。

これが口蓋帆(軟口蓋)と咽頭その周辺筋肉が収縮して空いている空間を閉じてしまう作用からです。

また、この機能は発音にも関与します。

この機能が低下すると、鼻声みたいになり発音が聞き取りにくくなります。

ということで、この鼻咽腔閉鎖機能は、摂食嚥下や発音という観点からは、とても大切です、そしてとてもニッチな分野ですが、最近、私が興味を持って勉強している分野です。

この鼻咽腔閉鎖機能の研究者は、現在、世界には3人しかいません(歯学部、医学部その他の学部をふくめて)。その内の2人はアメリカ人で最近引退しました。

もう一人は日本人です。

現在も現役の歯科医師として活躍されています。

最近、その歯科医師のセミナーに参加しました。

この鼻咽腔閉鎖機能を理解するにあたり、口蓋裂の治療を復習することがとても役に立ちます。

何故ならば、口蓋裂だと、鼻と口腔が繋がっているので、いかにしてそれらを、仕切りして別々にするかが治療となるからです。

この鼻咽腔閉鎖機能の研究者も口蓋裂の手術 のエキスパートでもある歯科医師です。

 

私は歯科大学生の時に、何度か口蓋裂の手術を見学しました。そして担当教官が執刀で行った手術の手術所見を提出した記憶があります。私の書いたこのレポートが患者さんの記録資料の中に正式な記録として挟み込まれたと思います。

口蓋裂の手術に関する方法は、いくつかありますが、このセミナーの歯科医師の方法が一番、シックリくる感じでした。

その中で一番大切な考えは、スピーチエイドと言われる入れ歯のような形をした口腔内に入れる装置です。

これで軟口蓋を持ち上げるのと同時に鼻と口の境界を狭めることができます。

(私は、50年以上前、保育園に行ってた頃、友だちが口の中に入れていたスピーチエイドを見たことがあります。初めて見たスピーチエイドでした)

このスピーチエイドを上手く使うことが、口蓋裂の治療がうまくいくかどうか決めます。

スピーチエイドの形は、内視鏡で見て修正しながらつくります。

具体的には、10歳過ぎに鼻咽腔閉鎖機能の為の手術をする方が4歳ぐらいでするより後々有利で、その10歳までは、スピーチエイドで補うということです。

(4歳で手術をしない理由はいくつかありますが、その理由の一つは、アデノイドという咽頭の膨らみが、10歳を過ぎるとちいさくなり、4歳で手術をすれば、アデノイドはまだ大きく、その後10歳ごろには小さくなっているので、その分隙間があき、鼻咽腔の閉鎖が手術をしたのに時間とともに元にもどるからです)

また、摂食嚥下的には、鼻咽腔閉鎖機能が悪くなると、食べている時鼻水がでたりします。

もっと極端に悪化すると、鼻咽腔閉鎖機能が働かないため、続いておきる嚥下運動が行われず食道の入り口つまり食道入口部が開かなくなることもおきます。この場合ワレンベルグ症候群と解釈される場合もあったりします。しかし、実はスピーチエイドみたいな装置を入れることで治ったりします。つまりワレンベルグ症候群ではなく単なる鼻咽腔閉鎖機能不全です。

以上ニッチな話題の鼻咽腔閉鎖機能で、こんなことに興味を持っている歯医者はあまりいないようです。