2019年12月29日

高齢者を対象とした歯科検診で、時々おられるのが、くちびるが振るえる方です。

場合によっては、歯科検診がかなりおこないにくい場合もあります。

まわりの介護されている方の殆どの方が言われるのは、よく唇は、振るえているけど、歯科検診などで緊張すると、それが特に強くなるといわれます。

では、歯医者が、考える高齢者の唇が振るえる原因は?

まず、歯医者が考える高齢者で、唇が振るえる場合の原因は、抗精神薬の副作用です。

高齢者になると、比較的多くの方が、色々な理由で抗精神病薬をのんでおられます。

この抗精神病薬を長期間飲んでおられると、遅発性ジスキネジアと呼ばれることがおこることがあります。

唇が震えたりします。

また、歯科検診時には、異常に唇に緊張がおきて、筋肉が突っ張ったような状態になると、歯科検診もやっとやっとという場合もおきたりします。

抗精神病薬の中でも、ハロペリドールやスルピリド(以前は、胃薬としても使われていて、最近では、抗うつ薬として多く使用されていると聞いています)でおきることが多いといわれています。

それで、介護している方に聞くと、実際に抗精神病薬を飲んでおられる方が多いです。

しかし、それと、同等に、抗精神病薬を飲んでおられない方もおおいです。

他に原因となる疾患が無く、つまり原因がわからないものです。

高齢によっておこっているものなのか、本態性振戦のようなものが唇におきているものです。これは、問題が深刻なことはないようです。歯科検診は、普通にできます。

また、パーキンソン症候群や他の神経疾患で起きる場合もあります。

 

口腔の天井である口蓋の奥が、振える場合もあります。

口蓋帆振戦(こうがいはんしんせん)と呼ばれています。

脳梗塞などの脳血管障害や、外傷で脳の一部に障害がおきたときにおきるといわれています。

教科書的には、小脳の歯状核と中脳の赤核,そして延髄の下オリーブ核を結ぶ三角(ギラン・モラレ三角と呼ばれています)の線上で問題が起きるとこの口蓋帆振戦になるといわれています。

私も歯科大学の解剖の実習以来35年間、実際に脳の解剖をしていないので、なかなかイメージしずらいですが。

高齢者歯科的には、嚥下に障害がおきます。

ということで、口腔領域での振るえは、時として大きな問題となったりします。