入れ歯の清掃と肺炎の関係
先月、東北大学歯学部の相田潤准教授らによって発表された研究が今朝の読売新聞に載っていました。
歯科の専門誌に載っていた事が、読売新聞に取り上げられて驚きました。
内容は、高齢者で、入れ歯の清掃を毎日する人と、しない人の肺炎になる率を比較したものです。
歯の表面には歯医者用語でいうプラーク(歯垢)が付着しています。
このプラークをいかにコントロールするかが、虫歯や歯周病を防ぐために重要となります。
プラークの中には多くの細菌が存在します。
そして、そのプラークの中には肺炎をおこす原因になる細菌もあります。
このプラークは、歯の表面だけではなく入れ歯の表面にも存在します。
これを歯医者は、デンチャープラークと呼んでいます。
デンチャープラークをきれいにするには、つまり入れ歯の表面の細菌を減らすのには、毎日入れ歯を洗うことが必要です。
高齢者になり要介護を受けるようになると、ご自身で入れ歯の手入れをする頻度が減ってきます。それに、認知症がくわわるとご自身で自発的に入れ歯の清掃をすることは、ほぼ無くなります。
肺炎は、この前まで日本人の死因の3位でした。現在は、色々なカラクリで日本人の死因の3位ではなくなっていますが、実質的には、3位です。
この肺炎と入れ歯の清掃に関する研究によると
要介護をうけていない高齢者で75歳以上では、毎日入れ歯の清掃をしない人は、毎日入れ歯の清掃をする人とくらべると肺炎になる率が1.58倍であったということです。
予想としては、要介護を受けている高齢者の場合、この肺炎になる率はもっと高くなるのではないかと思います。
理由は、要介護高齢者は、身体能力、意欲や社会的要因の問題で自分で入れ歯の清掃をしにくい環境にあります。また平均すると、要介護を受けていない高齢者よりも飲み込むチカラがおとろえているからです。(健康な高齢者も飲み込むチカラはおとろえていますが)
寝ている時の唾液の誤嚥、つまり寝ている時に唾液が気管にはいる、声門より下に浸入することは多くの人におきます。
海外での研究で、放射性物質を使った実験によると、健常なひとでも寝ている時の唾液の誤嚥がほとんどの人にあるといことが証明されています(こんな放射性物質をつかう研究日本ではおこなえないですが)
従って、口の中を清潔にしおくことが大切なとなります。
私のお勧めは、入れ歯を洗って、水をはったすずの容器にしばらくつけておくことです。
すずの容器にいれるだけで、入れ歯の表面のヌルヌル(デンチャープラーク)がとれます。