2019年09月20日

CAD-CAM冠(きゃどかむかん)

数年まえから、CAD-CAMの技術をとりいれた白い人工歯が保険診療に導入されました。

この人工歯を、歯医者は「きゃどかむかん」と呼んでいます。

これは、開業している歯医者にとっては、画期的なことでした。

この保険に導入されたCAD-CAM冠(きゃどかむかん)とは

レジンといわれる樹脂の材質のなかに、強度を増すためフィラーといわれる芯を混ぜ込んだ物質です。

基本的には、歯に小さい虫歯ができたときにする白いつめもの(やわらかいペースト状の白い物質を歯の穴に詰めてそれを紫の光でかためる治療)と同じですが、決定的な違いは強度がかなり強くなったことです。

どうして同じ成分で強度が強くなったかというとCAD-CAMの技術でつくられているからです。

つまり、工業的にあらかじめ出来上がった強度が強い白いレジンのブロックを機械で削りだしてつくります。

口の中で柔らかい白いペースト状の物を紫の光でチマチマとかためていくものとはちがい工場で高温高圧で固めて、しかもフィラー(芯)も多く入れ込むことができます。

ジルコニアやセラミックス系よりは、強度はおちますが、それでも普通に患者さんに使用できる一定レベルの強度はあります。

この保険のCAD-CAMについての研究もかなりされています。

北海道医療大学歯学部の疋田一洋先生の研究(参考文献:保険収載から3年経過したCAD-CAM冠を検証する ジーシーサークル,162:4~11.2017)によると

24ヶ月経過を追った研究で、CAD-CAM冠が壊れたのは、214のうち1症例だけであったということです。また、CAD-CAM冠がはずれたのは、この214のうち、10症例であったということです。

これは、レジンつまり、セラミックス系ではなくレジンだということをかんがえると、多くの歯医者が思っていたより成功率が高かったということが言えます。

そしてはずれたものの傾向としては、CAD-CAM冠を歯科用セメントで接着してかぶせるにあたり、その前段階の処置として、(接着される口の中の歯に関して)歯の土台がメタルつまり金属で補強されている場合は、このCAD-CAM冠がはずれる傾向があった。しかもはずれる場合は、装着から3ヶ月以内におきることが多かったという結果だということです。

私の歯医者としての感覚と疋田一洋先生の研究結果は、一致するものでした。

この原因は、私の考えは、CAD-CAM冠を接着するときの歯科用セメントはレジンセメントと言われるものをつかいます。レジンセメントは、その名前が示す通りCAD-CAM冠の主成分のレジンと同じであるため接着力は強いですが、金属とはあまり接着力が強くありません。金属表面の顕微鏡で見てわかる凹凸にからみあっているだけです。

日本を代表する歯医者のお偉いさんの先生の中には、金属とCAD-CAM冠の弾性係数(かたさ)が違うからだと考える方もおられます。

私の考えでは、これも影響しているとはおもいますが、それと同時に接着力の違いが同じぐらい影響していると考えています。

いずれにしても、無茶苦茶噛み合わせが強い患者さんには、このCAD-CAM冠は使えませんが、大多数の普通の噛み合わせの方にはとても有益な治療法だということになります。