2019年08月18日

高齢者のおおくの方が、何かの薬を飲んでおられます。

その薬と摂食嚥下機能の関係について

 

摂食嚥下の問題で、一番相談されることのひとつが、最近、急に要介護の高齢者の方が食べなくなった、たべれなくなったということです。

その中には、服用している、または最近服用し始めた薬の影響によるものがあります。

これは、歯医者やその他の医療職のひとには、薬剤性嚥下障害と呼ばれるものです。

その中で一番多いのは、抗精神病薬によるものです。

ほとんどの薬は、統合失調症に代表されるような病気の薬として認可されています。

その中でも、一番嚥下障害の原因となる薬は、リスペリドンです。

 

睡眠薬(抗不安薬として使われるものもあります)

ベンゾジアゼピン系の薬

インプラント手術の時の鎮静の時にも、色々な歯科医院でも、ベンゾジアゼピン系の薬は、時々使用されています。

最近では、ベンゾジアゼピン系のなかでも、ドルミカムというものがよく使用されています。

 

要介護の高齢者で時々見る中には、ベンゾジアゼピン系の薬のひとつのフルニトラゼパムという薬があります。

この薬は、私が歯科大学生のころ(30年以上前)、じゃんけんに負けた学生30人弱に担当教官歯科医師によりためされました。

私もじゃんけんに負けてしまい舌の下に何滴かいれられました。私の記憶では、10秒ぐらいで意識が遠くなりその後しばらくの記憶がありませんでした。正確には、質問の受け答えはできるけれども、意識レベルが低くなり記憶がとんでしまう状態です。

私の歯科大学病院での臨床実習の違う班の友人には、舌根沈下をおこし、この薬の作用が強すぎて使えないと言う結論に至ったようです。

ということで、要介護高齢者で使用される場合は、私が学生の時経験したのと薬の使用の仕方などが全然ちがいますが、基本的にはおなじフルニトラゼパムです。

このフルニトラゼパムなどのベンゾジアゼピン系は、筋弛緩作用があり嚥下障害を起こすこともあります。また、認知機能低下するという高いエビデンス(証拠)があるくすりです。しかし、この薬を使わなくてはならない場合もあるようです。

 

ベンゾジアゼピン以外にZ薬(ぜっとやく)といわれるくすりもあります。

ベンゾジアゼピン系よりはいいといわれています。

 

また、最近はベンゾジアゼピン系薬とは違うベルソムラやロゼレムといわれる薬があり、摂食嚥下的には、ベンゾジアゼピン系やZ薬よりも問題は少ないといわれています。

 

制吐薬

プリンペランと言われる薬は、脳に作用しやすく摂食嚥下の問題がおきることがあります。

また、ナウゼリンという薬は、脳への作用が少ないと言われていますが、それでも摂食嚥下の問題を起こすことがあります。

鎮咳薬

咳止めの薬は、誤嚥したものを咳で排除する作用を、弱くするものですので、摂食嚥下的には問題があるとされています。

 

抗てんかん薬

脳梗塞などの後には、てんかんがおきやすくなりますので抗てんかん剤がよく使用されています。

抗てんかん剤も摂食嚥下的には、多くの薬は、よくないですが微妙な調整で出されている場合がほとんどですので普通は、他の選択肢はなく飲まなければならない薬です。

 

抗うつ剤

三環系抗うつ薬は、摂食嚥下機能を低下させる薬です。

SSRIなどの抗うつ薬は、口腔乾燥の原因になることはありますが、摂食嚥下機能への影響が、あまりないと言われています。

 

嚥下をよくする薬

ACE阻害薬

血圧を下げる薬です。

最近は、中枢作用性のACE阻害薬は、認知症のリスクを下げると言われています。逆に非中枢性のACE阻害薬は認知症のリスクを上げるといわれています。

 

アマンダシン

最近は、パーキンソン病の薬として有名ですが,A型インフルエンザの薬としても使用されています。

 

シロスタゾール

血液をサラサラにする薬ですが、最近では認知症に使っている医師もおられると聞いています。

 

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

 

カプサイシン(唐辛子に多く含まれる成分)

喉の温度受容器(トリップ系)に作用します。

 

 

食欲を増す薬

漢方薬

六君子湯(りっくんしとう)

食欲を増す効果があるグレリンを増やす作用があるといわれています。

 

ペリアクチン

第1世代の抗ヒスタミン薬

動物実験や臨床実験でも、食欲を上げて、体重の増加も確認されています。

ただ、第1世代の抗ヒスタミン薬は認知機能低下させる可能性があるといわれています。(エビデンスの質、中ということになっています)

その他、モサプリド などがあります。

 

食欲を減退させる薬

①ジギタリス

心臓の薬です。

効果を発揮する濃度と中毒濃度がかなり接近しているくすりです。

食欲を減退させます。

②メマリー

認知症の薬です。

認知症の薬で唯一、抑制系のくすりです。

使用が難しい薬だそうです。

③リリカ

神経障害性疼痛の薬です。

この薬に替わるものがありません

④テオフィリン系

喘息の薬です。

私の子どもが小学校に行く前に よくこの薬、テオドールを飲んでました。苦くておいしくないようなことを言っていました、飲ませるのが大変でした。

嚥下反射を改善する作用もありますが、それよりも食欲を低下させる作用が大きいです。

⑤睡眠薬(抗不安薬)

ベンゾジアゼピン系には、筋弛緩作用の誤嚥しやすくなる効果もありますが、食欲も低下させる働きがあります。朝ご飯を食べない、時間がかかるなどがあれば、ベンゾジアゼピンの効果が長引いていることもあります。( 持ち越し効果)

⑥アリセプトなどの認知症のくすり

飲み始めたり、増量する時、吐き気がして食欲が低下する場合もあります

(また、副作用がない方などには、逆に食欲を増加させる効果もあります。)

⑦鉄剤

鉄剤が食欲を下げるリスクがあります。