2019年08月14日

歯医者のお盆休み

お盆休みを利用して、過去にうけた歯科の講演会の資料を見直していました。

その中に、一昨年受けた某歯科大学の教授先生の講演で面白いのがありました。

テーマは、歯科学からの嚥下のしくみについてでした。

内容は

嚥下とは、ごっくんとのみこむことを意味します。

その嚥下をおこさせるには、ヒトには2つの指揮命令系統があります。

その一つは、

食べ物が喉に入ったら、自分の意思に関わらず

反射的にゴックンと嚥下をして飲み込みます。

これは脳幹(脳の芯部にあるもの そして大脳がその芯部を覆っています)の延髄から喉への命令でおきます。(もっと正確に言えば延髄の中央付近にある網様体<もうようたい>であると基礎の研究をしている歯医者らは考えています)

もう一つの指揮命令系統は、脳の表面である大脳皮質が延髄に命令をして、延髄がその命令をうけとり、延髄が喉にゴックンとするようにさらなる命令をします。

これは、自分で、飲み込もう、嚥下しようという意思を持っておこなうことです。

無意識的な反射でおきるものではありません。

では、この大脳皮質からの嚥下しようという命令は、大脳皮質のどの部分からのものでしょうか?

実は、大脳皮質のひとつのポイントからこれがおきているのではないといことがわかっています。

現在のところ大脳皮質の中の4つのポイント(場所)が関与していることがわかっています。

その4つのうちのどれかひとつでも問題がおきると、スムーズな嚥下がおこなわれなくなります。

この4つの中のひとつで、一番注目されているのが島皮質<とうひしつ>とよばれているところです。この島皮質は、側頭葉が前頭葉・頭頂葉との境目の溝(シルビウス裂と歯医者は呼んでいます)で、その溝をまくり上げると中にあるのが島皮質です。

面白いことに左右対象でなく右側(歯医者用語では劣位半球)の島皮質が特に関与しています。

意識して行う嚥下は、この島皮質の役割がおおきいです。この周辺には、味覚を担当する部分があったり、咀嚼を担当する部分があったりと、関連する大脳皮質の部分があります。

嚥下障害がないヒトにとっては、食べ物を嚥下するときよりも、また、水を嚥下するよりも、自分の唾を飲み込む、嚥下することが一番難しいです、ということは、1番大脳を使わないと自分の唾を嚥下することができないということです。

そして、この自分の唾の嚥下に一番関係しているところがこの右側の島皮質です。

歯科診療のなかで、高齢者で、ご自身の唾が飲み込みにくくなっておられる方が、時々おられますが、一番可能性が高いのは、この右側の島皮質に問題が生じてきているのではないかと考えています。

まとめ

我々が、何げなくする嚥下も実は複雑な行程を経て行われています。

歯科分野の基礎研究を理解したうえで、実際の患者さんに接することは、歯科診療をスムーズに行う上で、とても重要だなと、改めて思いました。