2019年06月23日

ベロのチカラ

舌圧とは、口の中の舌が口蓋(こうがい、口の中の天井部、鼻と口を分ける部分の口の中の側)を押すチカラ、圧力をいいます。

歯科業界では、ここ数年この舌圧について話題になることが、おおくなりました。

なぜならば、舌圧が、摂食嚥下(せっしょくえんげ)の能力に深く関係するということがわかっているということが、多きな理由のひとつだからです。

摂食嚥下のときは、食べ物は、歯で噛んだらそのまま自然に喉に流れて、食道に行き、胃にいくわけではありません。

舌は、歯で噛んで食べ物を段々と砕いていきますが、歯で1回噛んで砕いた食べ物は、歯の外側や内側に落ちていきます。ヒトはその落ちた食べ物を、無意識にまた、歯の噛み合わせる面に持っていき、またさらに細かく噛み砕きます。この時、歯の外側に落ちた食べ物は頰の粘膜を巧みに使って歯の噛み合わせる面にのせます。歯の内側に落ちた食べ物は、舌でまた歯の噛み合わせ面にのせます。

これは無意識的におこなわれますので、歯学部の教育でこの分野の勉強をするまで、私もこの無意識的な舌の動きに気がつきませんでした。

また、舌と口蓋で、食べ物を砕いで小さくする場合もあります。

そして、一番大切なのは、食べ物を口の中から喉に送り込み嚥下するときには、舌が口蓋にしっかり密着して、空気がもれないようにしなければ正常にはこの動作をおこなえないということです。

従って、この舌圧というのがとても大切となります。

舌圧を簡単に量る器械も開発されています。

そしてフレイル(病気や介護を受ける状態ではないけれど、その状態に近づいているひと)、摂食嚥下障害のリスクがある人をピックアップするのに、この舌圧の測定結果がやくにたちます。

舌圧が

30kPa(キロパスカル)以上であれば常食をとることが可能

25kPa以上であれば、ほぼ常食をとることが可能

20kPa以下は、ミキサーにかけたり、市販の嚥下調整食などの特別な方法が必要

という結果がでています。(栢下淳ほか 日本摂食嚥下リハ学会誌 19 52-62,2015)

また、

舌圧と年齢の関係では、

女性では見られないけれど、男性では60歳ぐらいになると舌圧がかなり低くなるという結果もでています。

これは何を意味しているかというと、男性は、定年退職を機に、喋る機会も減り、社会と接する機会、繋がりが減って、東京大学の高齢社会研究機構の飯島勝矢医師らが行った千葉県の柏市で行った柏スタディの結果が示す通りフレイル予防には社会参加が一番大切だということを示しているのだとおもいます。

まとめ、

多くの歯科医院で舌圧を測定することができます。そして、その結果により、色々な対策方法もあります。