2019年04月30日

歯科と形成外科のちがい

私が歯科大学で臨床実習していた時、顎骨折の患者さんは多くて、よく手術見学をしていました。

歯科大学病院に来られる患者さんは、顎の骨折をした場合は、だいたいは、手術をして治療します。

整復(骨の折れた部分を元あった骨の位置にもどすこと)して、その骨の断片が動かないようにチタンのプレートとスクリューで固定します。

この整復固定をして数週間待てば骨はくっつきます。

ここで問題になるのは、整復の際、正確に1ミクロン以下の誤差で元にもどすことは不可能だということです。折れた破片の骨面どうしでミクロン単位の誤差があれば、それより離れた歯のさきの部分では、どんなに少なくても数十ミクロンの位置がずれます。場合によってはミリ単位のズレがでます。

口のなかで、例えばセラミックの人工歯や金属のかぶせものをする時、50ミクロン噛み合わせが高ければ、患者さんは噛み合せがおかしく感じ、調整して欲しいといいます。

ということで、歯医者、口腔外科医にとっては、まず上の歯と、下の歯が噛み合うように細いワイヤーでグルグル巻きにして、緊密に上下の歯が噛み合う状態にしてから、つまり、顎間固定(がくかんこてい)した後で、骨折面をチタンプレートとスクリューで固定するのが常識です。

歯科学生が、教官から口頭試問をうけて、チタンプレートとスクリューで固定(既にわずかにずれて、動かなく固定)した後で、顎間固定すると答えたらペナルティーとして、100枚レポートの提出を求められるはめになってしまいます。つまり、骨がつながったあとで、噛み合わないということがおきるからです。

この歯医者、口腔外科医の常識が実は、どうも、歯科だけに通用する常識らしいです。

日本形成外科学会の公式のホームページに、下顎骨骨折の治療法に関して、チタンプレートとスクリューなどで固定した後で顎間固定すると書かれていました。

この順番を逆にすることによって、どんなメリットがあるのか知りたいところです。

何か、理由があるのでしょうけど。