2019年01月27日

歯医者を悩ます非歯原性歯痛(歯が原因でない歯痛)

歯科医院に歯科治療に行く方は、歯が痛いと感じる場合は、虫歯か、歯周病だと思って、その治療を歯医者に期待します。

しかし、歯医者は、まず本当に、歯が原因なのか、疑いの目で見ます。

それは、どうしてかというと、患者さんが、歯(虫歯や歯周病など)が原因で痛みがあると、思っているものの中に、実は歯が原因ではない場合が、かなりの頻度であるからです。

そして、患者さんがいう通りに、歯を削っていたら、けずらなくてもいい歯を削る結果になるからです。

私も、歯が痛いと言って、やまもと歯科医院に来院される患者さんに、歯以外に原因があるのかどうなのか、確認していると、「歯が痛いから歯科医院にきとるがに、なんで、そんな関係ないことするがけ」とか「そこじゃなくて、ここ、ここ」といわれて、お叱りを受けることも多いですが、歯以外の可能性も、診査によって排除させていただけれれば、最終的には、患者さんの、利益につながることではあります。

この非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)は、時として、難問題となりますので、つねに頭の片隅に置いて気をつけなければならないものとなります。

 

今年、初めての日本歯科医師会雑誌のトップの話題は、この非歯原性歯痛でした。

この文を読んでいると、私以外にも、歯医者として私と同じ経験をしている人も、いるんだなと思って、読んでいました。

以前、筋・筋膜性歯痛について詳しく書きましたので、今回は次の3つについてです。

帯状疱疹性歯痛

この中で、「帯状疱疹性歯痛」という言葉が出てきました。私は、自分でこれを、「帯状疱疹の前駆症状の歯痛」と呼んでいましたが、どうも、ほぼ同じもの(微妙に違いますが)をさしているようです。

この帯状疱疹性歯痛は、歯医者がこのことについて、書いた文献は、あまりないというか、ほとんどないですが、やはり帯状疱疹性歯痛は、みんな(おおくの歯医者)が経験していることなんだと思いました。

去年、帯状疱疹の迅速診断キットが日本で、使用が可能となりましたが、このキットは、よほどの大病院でないと、なかなか置けないような、そして小さい歯科医院では中々置けないようなものですので、歯科医院で早期に診断することは難しいです。

 

上顎洞性歯痛

これも、時々あります。頻度的には、帯状疱疹性歯痛よりも、ずっと多いです。

上顎洞性歯痛は、鼻の横の上顎洞に炎症がおき上顎奥歯が痛いと感じます。

歯痛まではいかなくとも、上顎洞の異常で、特に小臼歯が、浮いたような感じがするかたは、更におおいです(歯が浮けば、噛み合わせが強くなり痛く感じます)。これについても、文献には、ほとんどでてきませんが、最近、某歯科大学の高齢者歯科の教授の講演で、私と同じ考えを持っておられたので、なるほどなとおもいました。

 

群発頭痛

最近、歯医者の間でも、認識が広がったものに、群発頭痛と呼ばれているものがあります。

群発頭痛とは、1~2年に一度、群発的に1ヶ月ぐらいの間、痛いと感じる時期がある頭痛です。この痛みは、無茶苦茶痛いです。

ある歯医者と頭痛専門の医師の研究によると、群発頭痛の人の3分の1の方が、上顎の奥歯の痛みと感じて歯科医院を来院しているという報告もあります。この群発頭痛は特徴的な痛みのため、歯医者の目の前でこの痛みが生じているとき、見ればすぐわかりますが、夜に起こることが多く(寝ている時に痛みのため目が覚める)、丁寧な問診が必要な「歯痛」です。

20年ぐらい前に、この群発頭痛を舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)と混同されていた時代が、歯科の一部のグループにありました。

これらのことは 、少なくとも、私が歯科学生のとき、歯科大学の授業では、全然習わなかったことですし 、話題にも、問題にもなったことがなかったです。

歯科学は、まだまだ、実際には、臨床的に文献的に確立されていないけれど、実際の診療で出くわす可能性がある病気や口腔に関する不都合、不快症状がまだまだ存在して、それぞれの歯医者が、経験から理解して対処していることがいくつかあり、これは、歯科学が学問として、ままだ、発展途上ということではないかと思います。