2019年01月07日

歯医者が関わる発音

歯医者は、患者さんの発音に古くから関わってきました。

それは何かというと(とくに歯医者は忘れがちなことですが)入れ歯や、ブリッジ、歯の被せ物、インプラントなどです。これらの人工の歯を適切な位置に適切に配置すれば、歯がなくて何を言っているかわからなかったのが、発音が明瞭になりわかりやすくなります。

特に入れ歯をあらたに作るときは、大きく、関係します。

 

歯科大学病院口腔外科や総合病院歯科口腔外科における口唇口蓋裂の治療の時も、患者さんの発音を改善させるというこうとが大切となります。

この口唇口蓋裂の患者さんの発音の改善のために、初めての、今で言う嚥下内視鏡が開発されました。50年前に大阪大学の歯学部の歯医者のグループが、発音のときの喉の奥の動きを観察して、その評価のためです。

私が小学校に上がる前に遊んでいた子にも、口唇口蓋裂の子がいました。

当時は、歯医者ではなく、単なる保育園の園児であったため何がなんだかわからなかったのですけど、別の悪ガキの子が、その子の口の中に入れていた入れ歯みたいなものを、外させたり、装着させたりしていました。今まで見たことがない形だった為、今でも鮮明に覚えています。入れ歯みたいなものから、喉のおくの方にむかって金属のワイヤーがでていて、その先に丸い形のものが、ぶら下がっている形のものでした。

歯医者になるために大学に行って、そのときはじめてその同級生が口唇口蓋裂だと言うのがわかりました。そしてその子が口の中に入れていたものが歯医者が言うスピーチエイドというものだったことがわかりました。(スピーチエイドとは、口蓋裂の患者さんの発音が、口腔の天井、つまり口蓋の一番奥にある軟口蓋(なんこうがい)を持ちあげて、鼻に抜ける声を正常な声にするための装着)

また、口唇口蓋裂の患者さんの場合、それの装着を作ったら治るということではなく、トレーニングも必要です。

現在は、言語聴覚士さんが中心にこの仕事に当たっているようです。(言語聴覚士という国家資格ができるまで、紆余曲折がありました。色々な団体の主張があり、この国家資格ができるのに大変でした。耳鼻科医の意見と、歯医者の意見が合わなかったり、その他の団体のかたとの意見があわなかったりして、20年ぐらい前にようやく結論が出され、いまの言語聴覚士の皆さんの活躍となっています。)

その他、口唇口蓋裂の患者さんの発音を改善させる装着があります。

 

歯科矯正治療にも、発音が大きくかかわります。

舌の位置の異常や、機能の異常、そして頰粘膜の動きによって歯並びが影響をうけます。歯医者は、舌癖つまり舌の悪習壁と呼んでます、また舌にかぎらず、唇の悪習壁などがあり、色々あります。それを改善させることにより発音も改善されます。この領域においては、1980、90年代にアメリカの言語聴覚士が日本で頻繁に講演会を開き、日本の多くの歯医者、歯科衛生士がその方法を習得しました。

また、口腔がんで舌や、下顎、上顎を切除した患者さんの発音の改善のため、舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょしょうと読みます。入れ歯みたいな形をして舌が口蓋まで届かない患者さんに、口蓋に舌が接触しやすくする装置)などがあります。

最近は、摂食嚥下障害のリハビリにも歯医者が機能訓練をすることがあります。その訓練により、発音もよくなります。

また筋萎縮性側索硬化症(ALS)の場合、軟口蓋(なんこうがい)がもちあがらなくなり発音が鼻にぬけるようになります。これを改善させるための装置も歯医者がかかわっています。