2018年08月31日

高岡市の妊婦歯科検診

高岡市の高齢化率(65歳以上の年齢の割合)が32%を超える中、最近、やまもと歯科医院では、なぜか妊婦歯科検診のために来院される方が、多く(多分偶然、今の時期に重なったのだと思いますが)、そしてそれに引き続き、ほとんどの方が、歯科治療を希望されます。

そこで、今回は、歯科治療を行う上で妊婦の方が気になる、歯科治療と薬の関係、そして歯科治療とレントゲンつまりエックス線撮影の影響についてです。

妊娠4週未満は、薬剤の影響に関しては、all or nothingの法則に従うことになります。 もし、薬剤の影響をうけるならば、妊娠経過の中で、妊娠が奇形とかという問題ではなく、妊娠が成立、継続するか否かのどちらかになるということです。妊娠が継続していれば、問題なしということになります。

妊娠4週から7週までは、絶対過敏期と呼ばれています。胎児の器官形成期であり、歯科などでだされる薬に一番過敏に反応する時期です。歯科などの薬だけでなく、例えば、最近流行している風疹にかかると、眼、耳、心臓のすべてに影響が出ることが多い時期です。つまり、いろいろな刺激で催奇性(奇形を生じる可能性)が問題になる時期です。

 妊娠8週から15週までは、相対過敏期と呼ばれています。口蓋や性器ができていっている時期です。歯科などでだされる薬に対して 

絶対過敏期の時のような大きな奇形をおこすことはありませんが、小さな奇形をおこす可能性があります。その奇形をおこす可能性がある歯科などの薬は、かぎられていて、数としては少ないです。

 妊娠16週から分娩までは、潜在過敏期と言われる時期です。基本的には、奇形を起こさない(例外、ワルファリン、ACE阻害薬など)、時期ですが、動脈管閉鎖などで、胎児に障害をおこす可能性がある時期です。その原因となり得る歯科などの薬は、ごくわずかです。

では、日常の歯科診療において、どうしても鎮痛剤、抗生物質をつかわなくては、ならなくなった場合はどんな薬を飲めばいいのか?

歯科における鎮痛剤に関しては、カロナール(アセトアミノフェン)が第一選択となります。最近までは、カロナールをのんでも、歯痛が緩和されるということはなかったですが、現在は、カロナールで歯痛を緩和することが可能になっています。

同じカロナールでどうしてそんなことが起きるのか?それは、最近、欧米のような使用法がみとめられたからです。

ただ、欧米では、アセトアミノフェンをむちゃくちゃ使用しますので、現在では、欧米では、妊娠に関係なく、大量の使用に関して、その問題(肝障害)も時々指摘されています。

また、歯科でよくだされる鎮痛剤、ボルタレンは、飲まないようにしましょう。危険です。

それと、ロキソニンも含め妊娠後期には、動脈管閉塞の可能性があります。

歯科における抗生物質に関しては、第一選択は、ペニシリン系の抗生物質です。その中でも、サワシリンが安全と言われています。間違っても、ニューキノロン系の抗生物質(抗菌物質)は飲まないようにしましょう。

レントゲン、エックス線の妊娠に関しての影響は、受精後10日から妊娠10週ぐらいまでの間は、影響を受ける可能性があります。ただ、それには、しきい値(一定のレベル越す量)が存在します。その量,、しきい値は100ミリGyですので、日常の歯科診療を行う上で、絶対にあり得ない数値です。歯科におけるレントゲン撮影では0.002~0.01ミリシーベルトで。しかも、レントゲンが照射される部位は、子宮からかなり離れていて、 また、鉛エプロンもしている状態ですので、絶対にあり得ないです。しかし、心配される妊婦の方がほとんどですので、やまもと歯科医院では、妊婦にレントゲンを撮ることはありませんが。

先天異常は、妊娠全体の2~3%でおきています。そしてそのうちの70%は原因が不明のものです。薬剤を含めた環境因子でおきる先天異常は5%ぐらいだといわれています。全体の確率としては薬剤による先天異常は低いですが、避けることができるものは、避けたいというのは、当然で自然ですので、症状、必要性と薬剤を飲むことによる不利益をを比較して、薬剤を飲むことによる利益が、その不利益をうわまわるときのみ、使用すべきです。